江戸の食文化を伝える『東京 芝 とうふ屋うかい』で、谷沢秀人さんと出会う。
東京タワーのふもとに広がる日本庭園に、しっとりと佇む伝統建築。日常を忘れ、自家製とうふの会席料理を楽しめる『東京 芝 とうふ屋うかい』では、支配人の谷沢秀人さん自らができる限り一部屋一部屋まわってお客様と心を交わすそうです。「空間も料理も、人のぬくもりも、本物を用意することがおもてなしそのものです」と谷沢さんは話します。
『東京 芝 とうふ屋うかい』のこだわり
国内外に23のレストランや美術館、洋菓子店を構えるうかいグループ。その『とうふ屋うかい』の3店舗目として20年前に開店した『東京 芝 とうふ屋うかい』は、東京タワーのふもとの約2000坪という広大な土地を一からならしてつくられたお店です。日本建築の粋を結集させた数寄屋建築、蔵造りの建築が建ち上げられて、庭園には樹木約1000本が移植され中には樹齢100年以上のものもあります。春は桜、夏は百日紅、冬は椿や梅と通年楽しめるよう日々手を入れています。
料理についても本物をご提供するために手間を惜しみません。最近は料理人不足といわれていますが、手間を惜しむことなく、一つ一つ丁寧につくられています。八王子にある自社工場でつくられる自家製とうふは水にこだわり、大豆は厳選された国産品種を贅沢に使用しています。食事のメインを張れる甘くて濃い豆腐の味に驚く海外の方々もおられるようです。豆乳と特製出汁のブレンドになめらかな豆腐が入った「豆水とうふ」は、心も料理も温かいままにとお席でスタッフが取り分けます。
いずれも「利は人の喜びの陰にあり」といううかいの基本理念によるものです。お客様が喜ぶことが大好きだった創業者の思いを、わたしたちも受け継いでいます。
支配人としての心構え
都内の日本料理店で12年ほどおりました。その頃知り合ったうかい創業者とのご縁で、オープン3年目の当店で働くことなりました。その後、うかいの系列店の立ち上げ時に支配人として配される経験を重ね、2021年にこちらの店舗へ戻ってきました。
ここは「商圏1万キロ」といわれる店で、世界中のお客様が集う場として2005年の開店当初から賑わい続けてきました。変化が起きたのはコロナ禍です。接待、団体、海外のお客様の減少に伴い、売り上げではかなりの打撃を受けました。そこで私が大事にしたのは、地元との関わりでした。ちょうどマイクロツーリズムなどが注目され始めた頃で、この機会に地元港区の方々を一層大事にしていきたい、絆を深めたいと地域づくりの集まりに積極的に参加しました。東京タワーや増上寺など港区の他の企業、団体とタッグを組んで地域を巡りうかいのとうふを楽しむイベントを企画するなど関係を深め続けていったのですが、この地域におられる多様な方々の魅力に改めて気づき、わたしたちにとって非常に意義深い時間でしたね。そんな中、コロナ禍が終息を迎え、地元港区の皆さまとの絆を深める取組も功を奏し経営はV字回復となった次第です。
おもてなしの心
お迎えからお送りまで同じスタッフが担当させていただき、お部屋にご案内する過程で店内のご紹介をしております。山形県の築200年の造り酒屋や新潟県の豪農屋敷にあった古材を移築した柱や梁は一見の価値があると思います。庭園には高低差があり、立つ位置によって風景が変化します。時間の移ろいで表情が変化する様も楽しく、写真スポットは300以上あるようです。
また、庭中央にある東屋の「田楽処」にて炭火で油揚げを焼く様子は、客室から見ることができます。スタッフがお席に届けますので、焼きたてをお楽しみください。MICE開催の際は、お客様の目の前で豆乳ににがりを打ってとうふをつくる「大桶寄せとうふ」の実演などを承ることが可能です。
空間と、料理と、人のぬくもり。本物をもっておもてなしする非日常空間を、日々の忙しさを忘れて堪能していただければ嬉しく思います。
基本情報
【谷沢秀人さん】
都内の日本料理店に12年在籍後、2007年より『東京 芝 とうふ屋うかい』勤務。2014年より『銀座 kappou ukai 肉匠』、2017年より『六本木 kappou ukai』の支配人を務め、2021年より『東京 芝 とうふ屋うかい』支配人。唎酒師。
【東京芝とうふ屋うかい】
- 場所:
- 東京都港区芝公園 4-4-13
- 営業:
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火曜~金曜 11時45分~14時30分、17時~19時(閉店22時)
土曜・日曜・祝日 11時~19時(閉店22時)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始 - Website:
- https://www.ukai.co.jp/shiba/