自然と人をつなぐ『竹芝干潟』で、 芝商業高等学校干潟部の皆さんと出会う。

竹芝らしい高層ビル群の中に佇む、芝商業高等学校。この高校の名物・干潟部の皆さんは、学校から通える竹芝干潟を愛してやみません。「観察したり、癒されたり。都会の中にある干潟では、人と自然、人と人とがつながります」。自分達の得意を生かして絵本『ひがたにやってきた』を製作し、竹芝干潟の大切さを楽しく伝える活動に力を注ぎます。

干潟の魅力

干潟部の皆さんは竹芝干潟にはどんな魅力を感じていますか?

この干潟は、都市生活の中で気軽にアクセスできる自然です。わたしたちも学校帰りによく立ち寄って、自由に楽しんでいます。また、干潟にいるとたまたま居合わせた人たちと生きものについて教え合ったりして、ふと仲良くなることもあります。人と自然がつながれて、人と人ともつながれて、一体感が生まれる場所なんですよね。干潟に立つと、目の前に緑豊かな浜離宮が見えて、足元から続く海の向こうには高層ビル群が望めます。耳を澄ませば、まちの賑やかさをBGMに波や風、船着き場の音が重なり合います。自然の豊かさと都心の美しさが一緒に感じられるのが大きな魅力です。
訪れる人もさまざまです。地元の親子連れやお年寄り、観光客の方々など、どんな人でも自分なりの楽しみ方ができる懐の深い場所だと感じています。

干潟部の活動

干潟部ではどんな活動をしているのでしょうか?

高校から徒歩5分で行ける竹芝干潟の魅力を、自分たちの得意を生かして発信しています。港区の小学生に干潟の面白さや大切さを知ってもらいたいと、干潟に棲んでいる生きものの生態を伝える仕掛け絵本『ひがたにやってきた』をつくりました。イラストも文章も、中の仕掛けもわたしたちの手づくりです。
制作時には先生や竹芝干潟アドバイザーの方々にたくさん力を貸していただきました。干潟で遊んでいる親子に実際に見せてアドバイスをもらい、どうしたらこどもたちに伝わるか試行錯誤を繰り返したんですが、その親子が完成後にイベント販売に来てくれて「こんな本になったの!」と喜んでくれた時には本当によかったなとしみじみ感激しました。
また、干潟のゴミ拾いもします。手伝ってくださる方もいて心強いです。これがきっかけで環境問題に興味を持つようになり、マイクロプラスチックについても学びました。そうすると「これを出しているのは自分たちの生活なんだな」と当事者意識も生まれ、世界の見え方が変化してくるんですよね。今後、干潟を通じて今の社会課題も一緒に伝えていく活動にも取り組みたいなと考えています。

都心で感じる生物多様性

ぜひ、竹芝干潟の楽しみ方を教えてください。

何より楽しいのは、やはり生きもの観察です。干潟の近くで魚を食べているコサギを眺めたり、砂の上できらきら光るコウロエンカワヒバリガイの光る貝殻を拾ったり、ネコノシタの葉に触れてザラザラした感触を楽しんだり。都会にこれだけ生物多様性の感じられる環境が残っていることにいつも感動します。
また、「竹芝干潟オープンデー」に参加すると大人もこどもも干潟を思いきり楽しむことができます。ハゼ釣り体験をした後に食べたハゼのかき揚げ丼は、淡泊でふっくらしていてとても美味しかったです!東京湾のハゼ釣りは伝統のある漁で、味も別格らしいのです。
この干潟は、いつ来てもハズレがありません。雨の風情もいいし、夜訪れると後ろのレストランの光が水面に反射する中、橋のたもとの青いライトでクラゲの浮く様子が見えて美しいです。小さな自然をのんびり観察しながら身体も心もリラックスできる、竹芝干潟ならではの贅沢を味わっていただきたいです。

Message to MICE organizers

【東京都立芝商業高校干潟部の皆さんから、MICE開催者の方々へ】

「この美しい風景のなかを登下校したい」と入学する生徒もいるほど、竹芝の街並みは魅力的です。一見都会の顔をしていますが、ゆっくりと時間の流れる自然もすぐ近くにあり、張り詰めた気持ちを心地よく癒してくれます。とりわけ竹芝干潟は、地元の人、観光客の分け隔てなく楽しめる場所です。仕事や研究とリフレッシュが同時に叶うこのまちに、ぜひいらしてください。

基本情報

【東京都立芝商業高校 干潟部】

学校の近くにある干潟をフィールドに活動している校内の有志団体。ウォーターズ竹芝にある干潟の活用をテーマに、「高校生として、干潟に対してできることは何か」を考えながら自主的に活動する。2023年クラウドファンディングで絵本『ひがたにやってきた』を製作。同年、生徒商業研究発表大会にて最優秀賞受賞。

【竹芝干潟】

場所:
東京都港区海岸1-10-30 WATERS takeshiba前
Website:
https://waters-takeshiba.jp/waterside/tideland/#tideland