鉄骨美を誇る『東京タワー』で、かねだひろさんと出会う。

展望タワー・展望台マニアのかねだひろさん。日本全国の展望施設を片っ端から巡り、その魅力を発信するかねださんにとって、東京タワーは特別な存在だといいます。「群を抜いて美しく、東京の歴史を目撃し続けている唯一無二の存在ですから」。タワーの成り立ちや土地の歴史まで知ることで、次元の違う楽しみ方が手に入るそうです。

展望タワー・展望台マニア

なぜ展望タワーや展望台を愛好しているのでしょうか?

かつて青春18きっぷで知らないまちを旅していた時、初めて訪れたまちでタワーにのぼったのがきっかけです。高いところからまちを眺めると、そのまちのことがとてもよく分るんですよね。しかも「このまちを制覇した!」という達成感も湧いてきます。その体験に痺れて、旅をしたらタワーにのぼってそのまちを知ろう、と決めました。

日本の展望施設の先駆けのひとつが、東京タワーです。東京地区に複数あったテレビ塔を一本化するためにつくられて、333mという高さを生かして展望台が合体されました。
これに憧れた自治体が次々と展望施設をつくりはじめて、私が把握しているだけでも展望塔や展望台なども含めると500以上もあるんです。
みんな「このまちを展望してほしい」と思っているということ。全国を巡る甲斐があります。

東京タワーとまちの歴史

かねださんならではの、東京タワーの楽しみ方を教えてください。

東京タワーの鉄塔美をあまねく味わえるのが「鉄骨浴」です。フットタウンの屋上に立って見上げてみると、建設技術が今ほど発達していない時代に職人が手作業で組み立てた鉄骨の、精密且つ大胆な美しさを浴びることができます。雨上がりは極上で、鉄塔の下に滴る水を浴びながらきらきら輝く鉄骨の美しさに見惚れる時間は至福です。
また、4本ある塔脚ごとに味わい方が違うのも面白いです。脚の逞しさを感じたければ入口付近の第1塔脚がオススメです。タワーが左右対称に見えるのはうかい亭前の第2塔脚で、最近はインスタ映えする細階段スポットに大行列ができています。
東京タワー本体だけでも充分楽しめますが、この土地の歴史を遡って知っていくとさらに興味が増していきます。江戸時代には海や湿地帯だったこのエリアを徳川家康が埋め立て、東海道を整備し、江戸の入り口になったという歴史があります。ここは時代を動かしている人たちのいた場所であり、道路、鉄道、船、そして空の旅の起点でもあるからこそ、変化も発展も大きい。そうした変遷が刻まれたこのエリアでのMICE開催は、土地からのエネルギーを享受しながらオンもオフも楽しめる力強い時間になると思います。

特別な東京タワー

かねださんにとって東京タワーはなぜ特別なのでしょうか?

何より、見た目の美しさが群を抜いています。この美しいタワーに通いたいがために、近所に暮らしているくらい(笑)。昭和33年という高度成長期突入の時代に圧倒的な熱量を注いで人の手によってつくられた奇跡のフォルムだと思います。そしてこの赤い色は“インターナショナルオレンジ”といって昔の航空法で60m以上ある建造物に指定されていた色です。
今は超高層ビルやスカイツリーもありますから、高さ150mのメインデッキからの眺望も正直あまり高い気がしませんよね。でもこの高さがちょうどいいのです。まちが視認でき、遠くも見渡すことができます。最近では、すぐ近くに麻布台ヒルズができあがっていく様子をここからずっと見ていました。風景は日々ダイナミックに変化していきます。そうやって東京タワーを訪れるいろんな人が景色を楽しんできたという記憶と記録の積み重ねがタワーの歴史、まちの歴史そのものなのです。

Message to MICE organizers

【かねだひろさんから、MICE開催者の方々へ】

このまちは変化と発展が大きく、それを見守り続ける東京タワーがあるというとてもパワフルなエリアです。MICEでいらっしゃった皆さまには、東京タワーの魅力を紐解くように歴史的なスポットと最新のスポットを巡るツアーを組んでご案内できれば嬉しいです。新しい視点を得ることで、見えてくる風景から読み取れる情報が倍増しになれば、文化の厚みを一層楽しむことができると思います。

基本情報

【かねだひろさん】

展望タワー・展望台マニア
現在までに日本全国の展望タワー、展望室、展望台を400か所以上巡る。全日本タワー協議会が主催する全国20か所のタワーを1年間で巡るスタンプラリーを唯一10回達成。ブログやSNS、自主制作の冊子『東京展望』『新潟の虹が消えるまで』などにより、全国各地のタワーの魅力を精力的に発信。『マツコの知らない世界』(TBS系)にも出演。著書に「日本展望タワー大全」など。

【東京タワー】

場所:
東京都港区芝公園4-2-8
営業:
メインデッキ 9時~22時30分 (最終入場 22時)
トップデッキツアー 9時~22時15分(最終ツアー 21時30分~21時45分)
Website:
https://www.tokyotower.co.jp